熊よけスプレー、ツキノワグマ専用の推奨スプレー - 日本護身用品協会

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2016年は全国で熊の被害が頻発しています。

全国的な熊被害の拡大に伴い、日本全国から当協会に対し、熊よけスプレーの適用や選定、安全性など多くの問い合わせが寄せられてます。熊よけスプレーは熊を撃退できる有効な手段であり、熊対策を行うにあたって熊よけスプレーの理解は重要です。

今回は当協会のトピックス「熊よけ(ベアー)スプレーの実態及び危険性の勧告」を参照しながら、熊よけスプレーについて改めて説明するとともに、当協会推奨の熊よけスプレーを紹介します。

熊よけ(ベアー)スプレーについては、2012年9月13日に公開したトピックスの熊よけ(ベアー)スプレーの実態及び危険性の勧告で詳しく解説していますので必ずご覧ください。

実際の事件

今年6月に、秋田県で熊による凄惨な事件が発生しました。

クマから人体の一部発見 4人死亡の山林で射殺

秋田県自然保護課は13日、クマに襲撃されたとみられる4人の遺体が相次いで発見された同県鹿角市十和田大湯の山林で10日に射殺したクマの体内から、人体の一部が見つかったと明らかにした。

現場の山林付近では5月下旬以降、タケノコや山菜を採りに来ていた男性3人と女性1人の計4人が死亡した。県警によると、ひっかき傷など遺体の状況から、いずれもクマに襲われた可能性が高い。

4人目の遺体が見つかった10日、地元猟友会が体長1.3メートルの雌のツキノワグマを射殺。解体して調べていた。

人間を一度襲ったクマは人を恐れなくなることから「同じクマが襲った可能性が高い」と指摘する専門家もいるが、県や県警は引き続き、入山者に対し、クマへの警戒を呼び掛けている。

産経ニュースより

この事件では、相次いで熊によるものとみられる遺体が発見され、さらにその後、射殺した熊の体内から人体の一部が見つかりました。熊の事件として大変衝撃的な事件であり、熊対策の重要性を改めて認識させられました。

熊の種類と生息エリア

熊対策を行うには、対象とする熊を特定しなければなりません。

日本に生息する熊は、本州以南に生息するツキノワグマと、北海道のみに生息するエゾヒグマの2種があります。

この2種の熊は完全に生息域が分かれています。熊に備える地域によって、対象の熊が異なることに留意してください。熊対策を行うには、前提として対象となる熊の種類を特定する必要があります。

名称 生息域 種類
ツキノワグマ 本州以南 小型・中型種
エゾヒグマ 北海道のみ 大型種

熊よけ(ベアー)スプレーの実態及び危険性の勧告(トピックス)-「対象動物の分類と適応の問題」より

国内に流通している熊よけスプレーの種類と特徴

現在、国内には熊に使用できるペッパースプレーと、熊専用の熊よけ(ベアー)スプレーの2タイプが流通しています。

それぞれの特徴は次の通りです。

通称 使用溶剤 安全性 使用対象
ペッパースプレー 水性 安全 人(護身用)や小・中型動物(ツキノワグマなど)
熊よけ(ベアー)スプレー 油性 危険 大型動物・猛獣(エゾヒグマなど)

熊よけ(ベアー)スプレーの実態及び危険性の勧告(トピックス)-「催涙液の液体性質と催涙スプレーの用途別分類」より

対象動物と適応

ツキノワグマ

当協会が推奨するペッパースプレー(催涙スプレー)を使用してください。当協会推奨の催涙スプレーは、ツキノワグマを始めとし、エゾヒグマを除くあらゆる危険動物を撃退する能力があります。また、基本的に催涙成分は対人用と共通なので、人体にも安全です。

エゾヒグマ(北海道のみに生息)

エゾヒグマはツキノワグマに比べ格段に体格が大きく、どう猛性も高いため、熊よけ(ベアー)スプレーを使用する必要があります。熊よけ(ベアー)スプレーは催涙成分が極度に強く、人体には劇物同様に大変危険なので、使用には十分な注意が必要です。また、熊よけ(ベアー)スプレーをエゾヒグマ以外の動物に対しての使用した場合には、対象動物に過剰な苦痛を与える結果となるため、エゾヒグマ以外の動物には絶対に使用してはなりません。

熊よけ(ベアー)スプレーの実態及び危険性の勧告(トピックス)-「対象動物の分類と適応の問題」より

熊よけ(ベアー)スプレーの危険性と国内での現状

ヒグマ対策限定で使用できる「熊よけ(ベアー)スプレー」は、人体にとっては劇物同様に危険です。熊よけ(ベアー)スプレーが人にかかった場合には、皮膚の爛れや水膨れ、視力低下や失明の恐れがあります。熊よけ(ベアー)スプレーを実際にエゾヒグマに対して使用する場合においても、付近に人がいないことを十分に確認し、慎重に使用しなければなりません。

熊よけ(ベアー)スプレーの実態及び危険性の勧告(トピックス)-「大型動物用(熊よけ(ベアー)スプレー)を対人用として使用した場合の危険性と問題点」より

現在、熊よけ(ベアー)スプレーは、十分な危険の告知と説明がないまま全国的に販売されています。熊よけ(ベアー)スプレーは、人体にとって劇物同様の液体を噴射するため大変危険であることを、使用者は十分に認識する必要があります。北海道の山間部で、エゾヒグマと遭遇する可能性のある場所を除き、熊よけ(ベアー)スプレーは使用しないよう注意と徹底が必要です。

熊よけ(ベアー)スプレーの実態及び危険性の勧告(トピックス)-「モラルが低く専門知識に乏しい販売業者にご注意下さい」より

日本護身用品協会推奨品

当協会がツキノワグマ用として推奨する催涙(ペッパー)スプレーは以下の2機種です。

画像 品名・品番 サイズ 噴射時間
 B-609 ポリスマグナム
4オンス
ファイヤーマスター
B-609
中型 約2秒
 B-610 ポリスマグナム
16オンス
ファイヤーマスター
B-610
大型 約8秒

北海道以外の地域におけるツキノワグマ対策には、熊よけ(ベアー)スプレーは危険過ぎて使用できません。必ず当協会推奨の催涙(ペッパー)スプレーを使用してください。

国内に流通している熊よけ(ベアー)スプレー


Bear Pepper

Bear
Pepper

MACE

Guard Alaska

Guard
Alaska

Counter Assault

Counter
Assault

CA230
CA290

Pepper Power

Pepper
Power

UDPA


メース・
ベアーペッパー
ガード
アラスカ
カウンター
アソールト
Bear Spray
S
H
U
319,000
注1
194,000
注1
322,000
注1
312,000
注1

油性 油性 油性 油性

エゾヒグマ
ハイイログマ
アラスカアカグマ
北極グマ
エゾヒグマ
ハイイログマ
アラスカアカグマ
エゾヒグマ
ハイイログマ
アラスカアカグマ
北極グマ
エゾヒグマ
ハイイログマ
アラスカアカグマ
北極グマ

注1) 軍事用SHU換算のためSHU値は食品用表記の1/10表示となっています

(SHU値はAOACIによる公式な分析結果です)


BearPepper SHU分析レポート

AOAC インターナショナル(アメリカの公認分析化学者協会:AOACI)

mace

Mace_BearPepper_1 Mace_BearPepper_2 Mace_BearPepper_3


GuardAlaska/CounterAssault/BearSpray SHU分析レポート

AOAC インターナショナル(アメリカの公認分析化学者協会:AOACI)

splay

spray_1 spray_2

spray_3 spray_4

まとめ

熊対策に使用する熊よけスプレーは、熊の生息域に合わせて適切に選択してください。

 

対象地域が本州以南の場合(ツキノワグマ)

当協会推奨の催涙スプレーB-609またはB-610を使用してください。

対象地域が北海道の場合(エゾヒグマ)

エゾヒグマ専用の熊よけ(ベアー)スプレーを使用してください。

【注意】熊よけ(ベアー)スプレーは当協会認定品はありません。ご購入の際は信頼できる業者から購入するとともに、使用の際には人への影響が及ばないよう周囲を十分に確認し、慎重に使用してください。